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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片
私は違うと言いたいけど、恐怖と酔いと身体の痺れで声さえもでなかった。
介抱をするフリをしながら私を抱きかかえながらバーを後にする。
これから行く先がホテルだと想像できた。
逃げなければと思っても身体はいうことを聞かない。
ただ抱きかかえられて彼に従うしかなかった。
エレベータに乗り込んだ瞬間、唇を奪われ舌を絡め唾液を私の中に流し込んでくる。

気持ち悪い…

それしかないのに、相変わらず私の身体は先を求める。
熱を帯びた身体は我慢の限界だった。
気を抜けば『入れて』と懇願しそうなほど熱く熱していた。

「意外と強情…媚薬には誰も逆らえなよ」

ああ…媚薬か

と、どこか諦めた思いが私の中に充満した。
使ったこともないのに媚薬を使われたら逆らえないと、いかにも私が知ってるかのように諦める自分がいた。
抱きかかえられながら大通りまで行き、タクシーが止まった。
その中に私は押し込まれ彼も乗りこんでくる。







乗り込んでくるはずだった。
だけど乗り込んではこなかった。
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