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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片
「逆方向でも1人で帰らせるわけには行きませんよ。彼女から住所を聞いて送る途中でした。」

「華…住所言えるか?」

よく分からない私は何も言えず、ただ身体の疼きを我慢していた。

「住所言えなさそうだな?…俺が送っていく。お前は帰れ」

その一言に高宮くんは本性を出す。

「はぁ?俺が一緒に飲んでたんだ。三宅さんには関係ない。横から割り込むな 」

春馬は何も言わずに彼の胸倉をつかんで自分の方に引き寄せた。

「本性だしたな…これ以上ぐだぐだ言うと警察沙汰にするぞ?いいのか?」

その言葉に彼は一瞬怯み、春馬を睨みつけた。
だけど春馬は動じない。
フンと鼻を鳴らし、彼を突き飛ばしタクシーに乗った。

「すいません…とりあえず尾長駅方面に行ってください。」

春馬は昔私が住んでいた家の方にタクシーを向かわせた。
そしてどこかに電話をかけ始めた。

「もしもし……今、家か?……今から華を連れていく。タクシーに乗ったから20分程でつくと思う……ごちゃごちゃうるさい…俺もよく分からないんだ…とりあえず、そっち行くから住所教えろ」

電話の相手が俊樹だと分かった。
私が春馬と一緒に居ることに驚いて嫉妬しているのだろうと電話の話から分かった。
また俊樹を悲しませちゃったと涙が溢れてきた。
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