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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片

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───…

眩しい日差しに目が覚めた。
こんなに眩しいのに目覚ましは鳴らない。
俊樹の腕の中から顔を上げると時計は11時を指していた。
遅刻だ!
と慌てて起きようとして身体の異変に気がついた。
頭が重い。
そして体のあちこちがギシギシと痛み、あまり動けなかった。
どうして?と考えても記憶がない。
どこから記憶がない?
と記憶を辿っても会社から帰ってきた記憶がなかった。

「華…どうしたの?」

起きていたのか、穏やかな表情で俊樹が聞く。

「俊樹…頭が痛くて…身体も痛くて…でも…記憶がなくて…」

混乱している私は言葉を並べるだけしかできなかった。
そんな私に俊樹は優しく話してくれた。

「記憶なくすよ…あれだけ飲めばね」

面白そうに話す俊樹の言葉に身に覚えがなかった。
俊樹はクククッといつもの笑い方をしてキスをする。
触れるだけの優しいキス。

「帰りにばったり会って、飲みに行ったの覚えてない?そこで少し飲みすぎちゃって…私も酔ってたから無茶苦茶に華を抱いた…壊れてしまうかもしれないと思いながらも愛おしすぎて愛しすぎてしまった…ごめんね。」

覚えていなくても、身体の痛みはそういうことなのかと納得した。
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