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第11章 情と愛

「いいよ。明日、会社で食べられるようなった？」

その言葉に、眉が下がり少し困惑する。
それが何を意味するか、まったく分からない。

「私の…じゃないんだ…」

「ん？だったら誰の？」

聞いても、すんなりとは教えてくれない。
教えづらい人なんだろうかと少し疑ってしまう。
だけど、俊樹が私が嫌なことをするはずもない。

「ねぇ…誰の分？」

「…本当はね。嫌なんだよ…だけどね…なんか最近見てると…食べてないような気がしてね…」

言葉を濁しながら言う。
その言葉で誰の事を言っているのか分かってしまう。

「春馬の分？」

俊樹は静かに頷いた。

「少し前から様子が変だったでしょう？ここ最近はやせてきたような気がして…話だったらいくらでも聞くんだけど…食事関係は私には無理だから…華、お願いできるかな」

「俊樹がいいなら、つくっても良いよ」

そう話すとホッとしたような、それでいて寂しそうなそんな複雑な顔をする。

「お弁当作るだけだからね。俊樹も会社にいるきは一緒に食べよう？」

複雑そうな表情は変わらず、まだ私と春馬の関係を怖がっているんだと伝わる。
もう、気持ちはないのに元カレとはそういうものなのかと、あまり近づくのはよそうと決めた。
逆の立場だったら、私も嫉妬して嫌だから。