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遠い日の約束。
第11章 情と愛
───…
「ねぇ。屋上に行かない?」
次の日、お昼休みに春馬を誘って屋上でお弁当を食べることにした。
日差しが強い夏でも屋上緑化によって幾分が涼しい。
そして唯一の喫煙場所でもある。
日陰になっているベンチに座り、ひとつのお弁当を春馬に渡した。
驚いている春馬に微笑んで黙ってお弁当を食べる。
春馬は吸っていた煙草を消して一口食べた。
「華の味…だな」
一言だけ言って、黙々と食べる春馬の顔は以前と違っていた。
お弁当を食べながら春馬の顔を覗き見すれば、顔色も悪い。
それに、何よりも煙草を吸い始めたのには驚いた。
つきあっている時も煙草は吸ってはいなかった。
どちらかというと煙が嫌いで避けるほどに。
「タバコ…吸うようになったんだね」
それとなく聞いても、作り笑いをされて何も話してくれない。
もう、相談するような相手じゃないってことなのかなと少し寂しくなる。
「なぁ…こんなこと…立花が知ったら怒るだろう」
半分ぐらい食べると、食べるスピードが落ちた。
無理やり食べてくれてるのが嫌でも伝わった。