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遠い日の約束。
第11章 情と愛
「そっか……独占欲強そうだからなぁ…それでも幸せなんだろう?」

「うん。」

「だったらいいな。お前だけでも幸せなって欲しいよ。俺は…」

その言葉に疑問がわく。
春馬の幸せはどこにあるのだろうかと思わせる言葉だった。

「春馬も…幸せになって欲しいよ…子供もできて幸せじゃないの?」

その言葉に、春馬の表情が引きつった。
元気がない原因は子供なのかもしれないと思えた。
それとも奥さんとのことなのか…それは分からない。

「話したいことがあったらいつでも聞くよ。俊樹も春馬のこと心配してるし…いつでも言ってね。」

春馬の手を握って伝えると、微かに笑った。
それは儚く、とても寂しそうに見えた。

「その時は…立花に話すよ…華を連れ出したら殺されそうだから」

無理して笑いながら食べ終わったお弁当箱を渡された。
そしてまた煙草に火をつけて吸う。
天を仰いで煙を吐けば、吸い込まれるように消えていった。
それを見ながらどうしようもなく抱きしめたくなる。
誰もいなかったら、きっと抱きしめて「大丈夫」と何度も告げていただろう。
俊樹には悪いけど、それだけ今の春馬は心配だった。

「そろそろ行くか…俺、今日はそのまま直帰だから、立花にありがとうって伝えておいてくれ」

煙草の火を消して、私たちは営業部に戻った。
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