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遠い日の約束。
第11章 情と愛





───…





10月8日土曜日
それは私の誕生日。
お祝いをしようとレストランを予約してくれていた。
お昼頃から出かけて、デートをした帰りにディナーの予定だった。
なのに、私は会社にいる。
PCに向かって入力しながら溜息が漏れる。
今頃は、俊樹と腕を組んで街中を歩いていたはずなのにと思うと溜息しかでてこない。
そして、これが何時に終わるのかも分からず、時間だけが過ぎていった。
目の前では春馬が頭を抱えながら昔の資料を引っ張り出してきて目を通している。
その表情は以前にもまして覇気が無くなっていた。
一緒にお昼を食べて2か月。
周りが見ても分かるぐらいに憔悴しきっていた。

「春馬…具合悪いなら少し横になったら?」

顔色の悪さにそう伝えても、「いい」と一言だけで仕事に没頭する。
今日、休日出勤をする羽目になったのは、めずらしく春馬のミスによるものだった。
クライアントに渡すはずの資料に不備が見つかり大慌てて修正することになった。
結構大きな仕事で、これを落とすとかなり痛い。
春馬の出世に響きかねない程だった。
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