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遠い日の約束。
第11章 情と愛
憔悴しきった顔が痛々しかった。

「悪かったな…今日…誕生日だろう?先に帰って良いよ」

「覚えてたんだ…お言葉に甘えて帰るね…また月曜日に会おうね」

なんとなく月曜日に会うことを念を押しPCの電源を落として帰る準備をする。
その間、春馬は私に背を向けて椅子に座ったままだった。
微動だにしない背中がとてもつらそうに見えて、このままひとり残して帰ることなんてできなかった。

「ねぇ…少し、飲んで帰らない?」

その言葉に振りむくことはなかった。
だから余計に心配になる。

「仕事頑張ったんだから、お礼してくれてもいいんじゃない?誕生日祝ってよ」

いつもと変わらない口調で誘う。
少しの沈黙のあと、春馬は腰を上げた。

「一杯だけな…」

春馬も自分のPCの電源を落として無言で部屋を出て行った。
その後を何も言わずについていく。
エレベーターに乗り込んでも話すことはない。
ただ、春馬に寄り添っていることだけしかできなかった。
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