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遠い日の約束。
第11章 情と愛
ずっと傍にいたいのは俊樹。
愛しているのは俊樹。
だけど…
今、傍にいたいのは、俊樹じゃなくて春馬…だった…。
ゆっくりと手を伸ばして春馬の手を取る。
いつもと変わらない暖かさにホッとする。
その手に引かれながら、久しぶりに春馬の家に上がった。
昔から何も変わらない。
モノクロで統一された無機質で生活感のない部屋だった。
何も会話はなく、私はいつものようにキッチンに立ち、お酒の準備をする。
その間に春馬はベッドルームに入ってラフな格好になってソファーに座った。
そこに缶ビールとコップを持って床に座った。
これが昔からの定位置。
あの頃と何も変わっていない。
コップにビールを注ぐと軽く乾杯をして飲み始める。
TVもついていない部屋は静かで、ゴクゴクと飲む音だけが響いていた。
カタンとテーブルの上にコップを置く音が響いた。
春馬をみあげると、いつものように優しい笑顔を向けてくる。

「おいで」

手を差し出されて、私は自然とその手を取りソファーの上に引き上げられ抱きしめられた。
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