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遠い日の約束。
第11章 情と愛
そっと春馬の頬に触れて、流れている涙を拭いた。
優しく笑いながら春馬は泣いていた。
その涙を見て、俊樹が心配しているのが分かっていても、私は春馬を選んだ。
私はバックの中からスマホを取り出して、鳴りっぱなしだったスマホを消した。
それが終わりの合図だとしても、今は春馬の傍にいたかった。
そんな私の覚悟が伝わったのか、春馬は私をもう一度抱きしめて肩に頭を乗せた。
抱きしめる手に力が籠り、それが震えてるのを感じる。

「俺の…子供じゃなかった…」

絞り出すように吐き出した言葉。
その意味を理解することができなかった。

「あいつも…他に男がいて…そいつの子供だった…」

意味を理解する前に目頭が熱くなった。
どうしてか分からないけど涙が溢れてくる。

「俺も華の事愛してたから文句は言えないけど…さすがに…こたえた…」

春馬は私とのことを決して不倫や浮気とは言わない。
それは私に本気だから言わないと以前言ってくれた。

「こんなことなら…華を手離すんじゃなかった…」

その言葉が突き刺さる。
手放したのは私。
子供ができたからと、愛のない人との生活を押し付けた。
その結果が春馬を苦しめる。

「ごめん…春馬、ごめん」
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