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遠い日の約束。
第11章 情と愛
「もしもし……ああ、無事にクライアントに送ったよ。……悪かったな。大事な日に華に仕事を手伝わせて…」

話の内容でそれが俊樹だと分かり、どうして電話したのかと焦り戸惑った。

「今、華うちにいるんだ……」

馬鹿正直に話す春馬に驚いていると、春馬が大丈夫だからと私の手を握った。

「まだ帰らないって言うから迎えにきてやってくれ……弱った男を見捨てられないんだろうよ……華ってそういうやつだろう?………怒るなよ。別にやましいことないんだから。…………もっと自分の彼女を信用しろ。」

私はただ黙って春馬の話を聞いていた。
電話の向こうでは心配しながら怒っている俊樹の声が聞こえてきた。

『あなたに言われたくない。で?どうして華がそこにいるんですか?』

「詳しくは来てから話して良いか…身体しんどいから…」

『分かりました。今から向かいます』

その一言で通話は途切れた。

「今から迎えにくるそうだ。一緒に帰りな」

心配そうに見上げる私の頭を撫でながら優しく微笑む。
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