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遠い日の約束。
第11章 情と愛
「大丈夫じゃないでしょう…余分に布団ありますか?」

「あるけど…」

俊樹の言葉に不思議に思いながら春馬は答えた。

「だったら、それを貸してください。私も華も今日はここに泊まります。…イヤとは言わせませんよ」

有無を言わさぬ強い口調で命令に近い言葉で断言した。
その言葉に春馬は戸惑うが、私はほっとした。
俊樹と一緒でも、春馬の傍にいられることがうれしかった。

「分かったら、三宅さんはベッドに行ってください。あとは勝手にしますから」

春馬の腕を取り立たせると、力が入らないのか身体がぐらりと揺らいだ。
慌てて俊樹が支えてベッドルームまで運んだ。
無理やりに寝かしつけて私たちはリビングにいる。
重い沈黙の中、布団を敷いて動けずにいた。

「心配……したよ……」

ソファーに座っている俊樹は一言だけ、そう言った。
いつもなら抱きしめて言ってくれる言葉なのに、今は私に触れようとはしない。
私の事を理解してくれる俊樹が、何も気がつかないはずはない。
きっと、私の心を読み取っている。
そんな感じがした。

「事故にあってるんじゃないか…何かの事件に巻き込まれたんじゃないかって……気が気じゃなかった…」

それは俊樹の悲痛の叫びに聞こえた。
連絡もしないで心配かけたのに怒ることはせず、自分の心の中に押し留めてしまう。
それが俊樹の優しさであり、愛情なのだと思う。
だけど、それが今は辛い。
怒ってくれた方がどれだけ楽かと…涙が溢れてくる。
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