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遠い日の約束。
第11章 情と愛

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まだ外は暗く夜が明けてないのに目が覚めた。
横にいるはずの俊樹の姿は見当たらない。
だけど声だけは聞こえてくる。
寝返りを打ちながら部屋の中を見渡すと、キッチン前のカウンターにふたつの影をみつけた。
耳を澄ませばふたりの会話が耳に入り込んでくる。
起きたことを気づかれないように話を聞いた。

『前から…何かがおかしいとは思ってたんだ…たまに帰っても何かがしっくり行かなくて…出張で実家の近くまで行ったから顔を見ていこうと思ったときに、他の男と三人でいる姿を見つけて……全に納得できた。おかしいと思っていたことがはっきりとしたんだよな…あ~…こいつが父親かって……妙に納得した自分がいて…笑ったよ…人間って追い込まれると笑うんだよな。』

『三宅さん…』

人事のように話す春馬に、俊樹が言葉を掛けようとして言いよどむ。
私も、きっと何も言えない。
言える言葉がみつかない。

『そのまま、家に戻って帰ってくるのを待ってた…顔を見たら何を話せばいいのか、それとも知らないふりをしたほうがいいのかずっと考えてた…けど、あいつの顔を見たら…『あいつが美夢の父親か?』って聞いてた…驚いて、泣きだしたよ。何度も何度も謝ってた。謝りながら…寂しかったって何度も言うんだよな……寂しくさせてたのは俺にも責任ある…結局は何も言えずに…時間をくれと言って家を出た…それから連絡もしてない』
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