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遠い日の約束。
第12章 それぞれの想い
「家族の人は気がつかなかったんですか?」
不思議に思った事を素直に口にした。
翔さんは静かに笑って続きを話してくれた。
「彼は…ひとりだったんですよ。両親はほとんどが海外で戻ってくることはなかった。何かあれば彼が海外に行くという感じで発覚が遅れたんです。…その話を録音して警察に持ち込んで全てが発覚しました。助けられた絹子は憔悴しきっていました。性的暴力も受けた後があり、ずっと陽の当たらない場所で縛られていたようで…助け出された時は歩くことも出来ず、体重も30㌔程だったそうです…」
あまりに衝撃的な話に誰も口を挟めなかった。
こんなことってあるのかと涙が止まらない。
「それからが大変でしたよ。絹子の精神状態はボロボロで誰も寄せ付けない。食事もとることが出来ずに、このまま死んでしまうんじゃないかと思うほどだった。…彼女のお母さんは私が来る事を拒みました。自分の人生を歩んでほしいと。絹子に構って自分の人生を棒に振って欲しくないと。だけど私は…毎日彼女に会いに行った。いつかは私を見つめてくれると信じて…将来の事を考えて大学には通いました。それでも時間が空けば絹子に会いに行く。それが何年続いたでしょうね。少しずつですが笑うようになってきたんです。私を見ても微笑んでくれて…うれしかったですよ。数年ぶりに見た笑顔が変わらず私に向いて…そして実感するんです。私は今でも絹子が好きなんだって…
不思議に思った事を素直に口にした。
翔さんは静かに笑って続きを話してくれた。
「彼は…ひとりだったんですよ。両親はほとんどが海外で戻ってくることはなかった。何かあれば彼が海外に行くという感じで発覚が遅れたんです。…その話を録音して警察に持ち込んで全てが発覚しました。助けられた絹子は憔悴しきっていました。性的暴力も受けた後があり、ずっと陽の当たらない場所で縛られていたようで…助け出された時は歩くことも出来ず、体重も30㌔程だったそうです…」
あまりに衝撃的な話に誰も口を挟めなかった。
こんなことってあるのかと涙が止まらない。
「それからが大変でしたよ。絹子の精神状態はボロボロで誰も寄せ付けない。食事もとることが出来ずに、このまま死んでしまうんじゃないかと思うほどだった。…彼女のお母さんは私が来る事を拒みました。自分の人生を歩んでほしいと。絹子に構って自分の人生を棒に振って欲しくないと。だけど私は…毎日彼女に会いに行った。いつかは私を見つめてくれると信じて…将来の事を考えて大学には通いました。それでも時間が空けば絹子に会いに行く。それが何年続いたでしょうね。少しずつですが笑うようになってきたんです。私を見ても微笑んでくれて…うれしかったですよ。数年ぶりに見た笑顔が変わらず私に向いて…そして実感するんです。私は今でも絹子が好きなんだって…