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遠い日の約束。
第12章 それぞれの想い
それから猛アタックですよ。あれやこれやで絹子の気を引こうとね。だけど、自分は穢れてしまっているから無理だと突っぱねるんですよ。そんなのは関係ないと言っても。それでも私は諦めませんでした。毎日毎日彼女の元を訪れて好きだと言い続けたんです。途中からは「はいはい」って言って相手にもされませんでしたけどね。それでもその関係が楽しかった。馬鹿言って笑って一緒に時を過ごせるのがうれしかった。…そんな時に事故にあったんですよ。生死を彷徨うほどの大事故に…それがよかったのかもしれません。ずっと傍にいた私はぴたりと来なくなり、恐怖を感じたと言っていました。拒絶しながらも一緒に過ごす時間が楽しすぎてそれが当たり前になっていたと。その言葉がうれしくて、プロポーズしてしまいました。それも病院のベッドの上で…それでも絹子は素直に頷いてくれませんでした。何度も何度も言いました。心が欲しいと。絹子の心さえあればそれでいいのだと…そして1年ぐらいしてやっとOKの返事を貰えたんですよ。」

最後に翔さんはお茶目に笑ってくれた。
だけど話の内容は笑えるようなものではなかった。
絹子さんの身に起きた出来事、そして、そこから立ち直るまでの苦しみや葛藤を考えると安易によかったねとは言えなかった。
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