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遠い日の約束。
第12章 それぞれの想い
「もしもし?」

『2人が傍にいるとは思わなかったよ』

「うん…一応、遠くに移動はしてくれてたんだけどね…俊樹の声が聞けてうれしくて…ふたりの存在忘れてた」

『忘れるって…でも話してすっきりしたんだね…気持ちも落ち着いた?』

「うん…。私は…俊樹が好き…ずっと傍にいたいと思ってる…けど…きちんと話をしよう?そこから始めたい」

それは別れるための話ではない。
これからふたりで歩んで行くために必要は話合い。

『そうだね。きちんと話してから一から始めよう…電話してよかったよ…正直…電話して良いか迷ってた…きちんと話をしようと言ったけど…帰るのが怖かった…だけど今は早く帰って華を抱きしめた。たくさん愛したい』

初めて、俊樹から心の声を聞いた気がした。
いつだって自分の思いを押し留める俊樹の本当の声…

「うん…私も…。待ってるから…あの家で、俊樹の事待ってるから…帰って来てね」

『もちろん帰るよ。それまで電話で我慢してね。また電話するよ。今度は誰もいない時に』

「だね。…じゃあ…」

『うん…タクシーで帰るんだよ…』

「分かってる…じゃあ切るね…部長たちに睨まれてるから」

『分かった…じゃっ』

そういって通話は切れた。
残ったのは寂しさだけだった。
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