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遠い日の約束。
第12章 それぞれの想い
「一見落着ってところですか?」

カウンター内でグラスを拭きながら、私にウィンクをしながら翔さんが聞いた。
少し恥ずかしかったけど、私は笑顔で頷いた。
だけど、自分自身ゲンキンだなと思う。
あんなに悩んでウジウジしていたのに、今は俊樹に会いたくて仕方がない。
まだ、俊樹を裏切ったことに対して謝ってもいないし、何も解決はしていない。
だけど、私の心は確実に固まり、晴れやかな気分だった。

「ありがとうございます…きちんと向き合って…ちゃんと話をします」

三人に頭を下げると、ワラワラと私の元に集まってくる。
そして三人から頭をワシャワシャと撫でられた。

「さて、そろそろ帰るか…通り道だ!タクシーで送ってやる」

部長が私たちの分まで払いながら帰る準備を始めた。
俊樹のいない部屋に帰るのは寂しかったけど、ここで飲み続けるのも逆に心配させると思い部長と帰ることにした。
翔さんも今から店を開けるというから、私の為に貴重な時間をつぶしてしまって申し訳なくおもっていると、「絹子の事を話せてよかったです…何かあったら力になってくださいね」と言って送り出してくれた。
外に出れば、9時を少し回った頃でにぎわっている。
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