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遠い日の約束。
第12章 それぞれの想い
これから飲みに行く人を尻目に私たちはそれぞれの方向にタクシーを向けた。
部長の家は、私の家から約10分ぐらい先の家だった。
俊樹が心配しないようにLINEを送った。

『今、部長とタクシーに乗って帰ってます。」

直ぐに既読になり、返事が返ってくる。

『部長なら安心です。
 

華…早く会いたい』

その最後の一言にキュンッとする。
私も早く会いたい。

『私も会いたい…
早く帰って来てね』

にやにやしながら打っていると、部長の手が私の髪の毛を撫でる。

「仲直りしてなによりだ…。もう迷うなよ。迷ったら相談しろ!!いくらでも答えを出してやる」

その言葉に涙が出そうになる。

「部長…どうしてそんなに気にしてくれるんですか?」

ずっと気になっていたことを聞いた。
部長はにっこりと微笑んだ。

「うちな…俺も奥さんも女の子がほしかったんだよな。なのに生まれてくるのは男ばかり、結局は男三人…。まぁ、元気だからそれはそれでいいんだがな…やっぱり女の子を持つのは夢でな…草野と会った時に、女の子がいたらこんな感じなのかと思ったら…やたらと気になりだした…困ってないか、寂しい思いをしていないか…完全に父親目線だな。三宅とつきあってるのに気がついた時は、張り倒してやろうかと思ったけどな…お前が幸せそうにしてるのを見て…近い将来傷つくことがあってもそれはそれで人生勉強なんだろうとな。その時は一緒に飲みん行ってと思ったんだが、お前は立花と出会えた…」

そこで一旦言葉を止めてフッと面白そうに笑った。
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