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遠い日の約束。
第14章 想いの深さ
それから1時間…
そろそろかなと思う。
いつもこの時間になると華は目を覚ます。

ほらっ。

今日も華は瞳を薄っすらと開き私を見つめる。
頬に手を添えると、一瞬瞳を閉じて、また開く。
その瞳は華であって華ではない。

「おかえり…ここは君が居て良い場所じゃない…君の本来いる場所におかえり」

そう告げると、ポロリと涙がこぼれる。

「大丈夫。彼は待っててくれているよ。君が帰ってくるのをずっと待ってる。だから帰ってあげて?」

彼女は黙って首を振る。

「君が帰らなければ、彼はずっと闇の中だよ。彼は君の心が欲しいんだ。好きなら帰ってあげて。そして抱きしめて本当の気持ちを伝えてあげて。それが彼が幸せになれる一番の方法。それは君だけしか与えられないもの。…信じてあげて…」

私は彼女の瞳に手を当てて告げる。

「葉月を信じて…美弥…」

そう告げると、美弥はスッと消えていく。
不思議なことに、美弥の魂が蘇ることがある。
きっと、同じ思いがふたりを引き寄せているのではないかと思っている。
だから、私は帰ることを促す。
どんなに汚されようと、愛していることには変わりはないから。
欲しいのは心以外ないのだから。
それを美弥に知って欲しい。
葉月のためにも、美弥自身の為にも…
だけど、それでいいのかとも思う。
その後の悲劇を知っているから。
これ以上、美弥が傷つかないですむのなら自我を取り戻さない方がいいのかもしれない。
だけど、葉月を思うと…戻ってほしいと願う。

「やはり…私は自分勝手…」

今も昔も変わらず…私は自分勝手だ…
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