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遠い日の約束。
第14章 想いの深さ
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次の日、夕方からクライアントとの打ち合わせのため昼過ぎに会社を後にした。
女々しいのは分かっている。
分かっていても、私は華に言ってしまう。
「どこにもいかないで」
と、負担になると分かっていても言ってしまった。
自己嫌悪に陥ると分かっていても言わずにはいられなかった。
それほどまでに私は華を愛している。
だけど、愛しているのならば手離すことも考えなければいけないとも分かっている。
分かっていても…できない自分が情けない。
ホテルについて荷物を部屋に置いたら、一息つく間もなくクライアントとの食事会。
営業部長と、なぜか取締役部長が同席していて驚いた。
仕事の話は月曜日にしようと言う事になり食事が進んだ。
月曜日に仕事の話をするのなら今日から来なくてもよかったのではないかと不思議に思った。
だけど、その理由は直ぐに分かる。
「お連れ様がお着きになりました」
襖の外から仲居さんが声をかけて襖がすっと開いた。
そこには受付の篠原さんが立っていた。
「叔父様。遅くなり申し訳ありません」
篠原さんがそう言葉を発すると、取締役部長が手招きをして私の横に座らせた。
「いや、気にするな。それにしても相変わらずきれいだなぁ…立花君もそう思うだろう?」
取締役部長の言葉に苦笑いをするしかない。