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遠い日の約束。
第14章 想いの深さ
9時ごろになり、華の事が気になり電話をかけるべく席を外した。
この時間なら家にいるはず。
と思いながら躊躇する。
このまま時間を置いた方がいいのかもしれない。
だけど、そのまま終わってしまうのも嫌で、怖さを覚えながらかけることにした。
出てくれることを祈って電話を鳴らす。
1回…2回…3回…4回…
でないことに焦りを感じ始めた時、華が電話に出てホッとした。
だけど何も話さない。

「華?」

華の名前を呼んでも返事はない。

「華?聞こえてる?」

心配になってもう一度名前を呼ぶと、鼻をすする音が聞こえてくる。
泣いている?

「華?どうしたの?泣いてるの?華?」

『俊樹…会いたい…俊樹に会いたい…』

焦っている私の耳元にそんな言葉が舞い込んでくる。
会いたい?

「華?」

意味が分からない私はもう一度名前を呼ぶ。

『俊樹に抱きしめてほしい…俊樹に…触れたい…』

泣きながら伝えてくる言葉に、私の方も涙が出そうになる。
昨晩は出て行こうと心を決めていた華が、今は会いたいと、抱きしめて欲しいと言ってくれる。
それはうれしい言葉だった。
だけど、傍にいられない今、それはできなくてくやしい。
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