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遠い日の約束。
第14章 想いの深さ
「忘れるって…でも話してすっきりしたんだね…気持ちも落ち着いた?」

『うん…。私は…俊樹が好き…ずっと傍にいたいと思ってる…けど…きちんと話をしよう?そこから始めたい』

そこから始めたい。
それは別れ話ではなく、ふたりの未来に向かっての話合い。

「そうだね。きちんと話してから一から始めよう…電話してよかったよ…正直…電話して良いか迷ってた…きちんと話をしようと言ったけど…帰るのが怖かった…だけど今は早く帰って華を抱きしめたい。たくさん愛したい」

初めて弱音をぶつけた。
どんな時でも、華が不安になる言葉は言わないようにしていた。
けど、それは間違っていたのではないかと思う。
弱音を吐けてこその間柄になりたい。

『うん…私も…。待ってるから…あの家で、俊樹の事待ってるから…帰って来てね』

今はその言葉がうれしい。
待っているの一言が私を安心させる。

「もちろん帰るよ。それまで電話で我慢してね。また電話するよ。今度は誰もいない時に」

『だね。…じゃあ…』

「うん…タクシーで帰るんだよ…」

『分かってる…じゃあ切るね…部長たちに睨まれてるから』

「分かった…じゃっ」

後ろ髪を引かれる思いで電話を切った。
思い切って電話をかけてみてよかった思う。
安心した華の声が聞けて、私の心も穏やかになる。
少し余韻に浸り、私は飲み会の席に戻った。
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