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遠い日の約束。
第14章 想いの深さ
こおいう時の時間はやけに長く感じる。
あの時も長った…
華が湖に落ちて助けるまでの時間は今と同じぐらい長く感じた。
私の手に必死にしがみつく華を必ず助けると必死だった。
だけど、子供の私が助けるには冬の水は冷たすぎた。
ぐったりする華。
ひとりでだったら這いあがれるのは簡単だった。
だけど華を置いて行くことはできなかった。
置いて行くぐらいなら、一緒に死にたいと思った。
その瞬間、全ての記憶が押し寄せ思い出した。
混乱と困惑。
子供の私の心が対処できるはずもない。
だけど分かることは、今も昔も考えることは同じだってことだった。
小さいながらにも華をひとりで逝かせるのが忍びなくて、記憶が戻ったあの時でさえ一緒に逝くことに抵抗はなかった。
ずっと好きだったから。
子供の頃の好きはおままごとのようなものかもしれないけど、その中でも真剣に好きだった。
これを愛と呼ぶのだと初めて知った。
その後は泣く泣く離れ離れになった。
ずっと傍についていて私が幸せにしたかったのに、ひとりで生きていくには幼すぎた。
最後に華の傍に行き、誰もいない瞬間を見計らってキスをした。
私のファーストキス。
華もそうだと思う。
アメリカに行き、毎日華の事を思い、葉月と美弥の悲劇に嘆き苦しんだ。
だけど、成長するうちに自然と記憶は消えた。
理由は分からなかったけど葉月と美弥の記憶だけ全てを忘れていた。
あの時まで。
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