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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
「分かったようだな…。すいません。お願いします。」

部長は救急隊員に一言かけると、彼らは華に手を伸ばしてきた。
その手を知らず知らずのうちに叩いていた。

「立花!!」

部長の鋭い声が飛んでくる。

「俊樹さん…華ちゃんの為です…大丈夫。ここにいる人たちは誰も華ちゃんを傷つけませんよ。」

翔さんが同じ目線になり、華の髪の毛を優しく撫でる。
誰も傷つけない…
もう傷ついて欲しくはない。

「立花。病院に連れて行って手当てをしてもらおう…手首が痛々しいだろう?」

三宅さんの言葉に華の手首を見ると、高宮の手から逃れるために必死に抵抗した後が目に入る。
手錠で切れた皮膚から流れ出る血が止まることなく流れていた。

「…華…」

私の腕の中でぐったりとする華を確認すると涙がこぼれ出した。
心も傷つき、身体も傷つき、私はまた助けることができなかった。
傍にいたのに、一緒にいたのに私はまた助けられなかった。

「…ごっ…ごめん…華……ごめん…」

腕の中でぐったりしている華に『ごめん』と伝えることしかできない。
他にかけてやる言葉など見つからなかった。
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