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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
─…
──…
───…
真っ白なベッドに横になっている華。
先ほどまで、苦痛に耐えていたとは思えない程、安らいだ寝顔にホッとする。
「すいません…絹子には何も話さないで出てきなので一旦帰ります。」
「俺も、ちょっと嫁さんに連絡してきます」
そう言ってふたりは部屋を出て行った。
残されたのは私と部長のふたり。
私は華の髪の毛を撫でながら、華が目覚めるのは今か今かと待っていた。
「立花…聞いていいか?」
外を見ながら部長が口を開く。
何も答えない私に、部長は振り向いて聞いた。
「あの時…美弥の名前を呼んだな…連れて行くなと…あれはどういう意味だ?美弥は草野をどこに連れて行くつもりだ?」
部長の口から美弥の名前を聞いて、部長が誰なのか確証する。
「なぜ笑う?」
部長の一言で、自分が笑っていたことに気がついた。
笑った理由…
「あなたは…昔と変らないと思いまして…昔から私たちの事を一番に考えてくれました。時には厳しく叱り、時には両親より深い愛情をかけてくれた…」
一旦言葉を切り、部長を見た。
そこには、昔と変らない優しい瞳で私と華をみる部長がいた。