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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
「和尚様でしょう?」

その一言で部長は目を細めて笑った。

「気づいているとは思ってたよ…」

「ええ…部長の言葉がそうなんじゃないかと、何度か思う時がありました…」

敢えて部長と呼ぶ。
過去に和尚様だったとしても、今は私のよき理解者の部長以外はない。

「で?なぜ美弥の名を呼ぶ?」

部長の言葉に遠い昔を思い出す。
まだ、美弥が心を閉ざしていた頃の事を…

「美弥が心を閉ざしていた頃の話です。真っ赤な夕日がきれいな日に美弥と散歩に出かけ、沈みゆく太陽を見ていました。何度も一緒に見た夕日を思い出しながら、見続けていました。そしたら美弥が『あなたは誰」と言葉を発した。その時は、美弥の声が聞けてうれしいかった。けど、今思えば、あれは美弥じゃなかった。あれは華…間違いなく華です…。…だから、あの世界に連れて行ってほしくはない…あの時の感情を思い出してほしくはないんです…」

部長は口を挟まず黙って私の話を聞く。
その瞳を受けながら私は続ける。
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