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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
「草野君のご両親ですか?」

部長が声をかけると、おじさんが部長に目を向ける。

「私、草野君の上司の高科と申します。今回の事は私どもの認識の甘さからこのようなことになってしまい、本当に申し訳ございません」

本当は私が頭を下げるべきなのに、部長が謝って深々と頭を下げる。
それに比べて私は…言葉をかけることさえできないでいた。

「いえ…今回の事は誰のせでもありません…悪いのは華に酷いことをした男です…。…華をこんな目に合わせて…」

握りしめられている拳が震えているのが分かる。
話を聞いて、どんな思いでここまで来たのか。
それを思うと、私はいたたまれなくなり逃げるように病室を出ようとした。

「待てよ…」

冷たい言葉が背中に突き刺さる。
その声の威圧に振り向くことができなかった。
振り向くことも出ていくこともできない私は、どうすることもできなかった。
少しの沈黙の後、すごい力で引かれ、壁に押し付けられた。
鋭い目で私を見る彼は、彩ちゃんの旦那さんだった。

「お前…何やってんだよ…華ちゃんを幸せにするんじゃなかったのか?」

その言葉に何も言い返せない。
息ができないほど押し付けられても、その手を払い除けることなど私にはできなかった。
彼の言うとおりだから。
私は、華を…華の心を守れなかった。
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