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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
「たっちゃん…」
彩ちゃんが旦那さんを呼ぶ。
しかし、その声は聞こえていないようだった。
「また…同じ苦しみを味合わせるのか…俺が与えてしまった苦しみを…」
私の胸ぐらを掴んでいた手を離すと、拳を壁に思いっきり打ち付けた。
そして鈍い音が病室内に響く。
「たっちゃん!!やめて!!たっちゃん」
必死に彩ちゃんが叫んでも旦那さんの形相は変わらない。
何かに取り憑かれたかのような…
…違う…
取り憑かれているわけではない。
これは…南和…。
そう。南和の目だ。
彼も、記憶がある?
分からない…
以前あった時は、穏やかで記憶はなさそうだった。
「やめなさい!孝弘君!」
おじさんが割って入り、私から彼を引き離した。
「たっちゃん?…たっちゃん?」
「…あっ…俺…」
引き離されて、漸く彩ちゃんの声が届いたようだった。
「大丈夫?」
頭を抱えて苦悩している彼を心配する。
しかし、彼は自分が何をしたのか困惑して青ざめていた。
「しゅうくん…申し訳ない…みんな…動揺しているんだ…」
おじさんは彼を庇いながら頭を下げる。
「いえ…彼が言ったのは事実ですから…私がもっとしっかりしていれば…こちらこそ申し訳ありませんでした…」
やっと謝ることができた。
彩ちゃんが旦那さんを呼ぶ。
しかし、その声は聞こえていないようだった。
「また…同じ苦しみを味合わせるのか…俺が与えてしまった苦しみを…」
私の胸ぐらを掴んでいた手を離すと、拳を壁に思いっきり打ち付けた。
そして鈍い音が病室内に響く。
「たっちゃん!!やめて!!たっちゃん」
必死に彩ちゃんが叫んでも旦那さんの形相は変わらない。
何かに取り憑かれたかのような…
…違う…
取り憑かれているわけではない。
これは…南和…。
そう。南和の目だ。
彼も、記憶がある?
分からない…
以前あった時は、穏やかで記憶はなさそうだった。
「やめなさい!孝弘君!」
おじさんが割って入り、私から彼を引き離した。
「たっちゃん?…たっちゃん?」
「…あっ…俺…」
引き離されて、漸く彩ちゃんの声が届いたようだった。
「大丈夫?」
頭を抱えて苦悩している彼を心配する。
しかし、彼は自分が何をしたのか困惑して青ざめていた。
「しゅうくん…申し訳ない…みんな…動揺しているんだ…」
おじさんは彼を庇いながら頭を下げる。
「いえ…彼が言ったのは事実ですから…私がもっとしっかりしていれば…こちらこそ申し訳ありませんでした…」
やっと謝ることができた。