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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
「困惑してたな…草野のあの姿を見て何かが蘇ったのかもしれんな…だからと言って思い出したとも限らん…極力、思い出さないほうが良い…」

部長も渋い顔をして何かを考えているようだった。
思い出さないほうが良い…
その原因をつくったのは私と南和…
南和が苦労も後悔もせずに生きているのかと思うと歯痒くてイラッとする。

「南和のせいで…美弥の人生はボロボロだった…それなのに…」

思っていたことが口から零れる。
そのボロボロの人生にしてしまったのが私である事を棚に上げて南和を憎む心は消えていない。

「後悔せずに過ごしたと思うか?」

部長が静かに告げた。

「お前たちふたりが逝ってしまって、誰も何も思わなかった言うのか?」

部長を見れば寂しそうな表情をしていた。

「お前たちは逝った側だ。ふたりで逝けて満足だったろう…けどな…残された者たちが何を思い何に苦しみ生きて行かねばならなかったのか…想像したことあるか?誰もが自分を責め、嘆き悲しみ…お前たちを思い生きて行かねばならなかった心を…思いを知らないだろう…」

部長の言葉に心が苦しくなる。
あの時は、美弥が逝くのならひとりでは逝かせたくなくて共に逝くと決めた。
その後のことなど何も考えてはいない。
部長に言われるまで考えもしなかった。

「教えてくれますか…あの後…何があったのか…」

私は聞かなければいけないと思った。
あの後に何があり、皆がどう人生を送ったのかを。
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