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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
南和は他の部屋に隔離し誰にも会わせないようにした。
理由は分からないが南和が関わっていることは確かだと分かっていたため、1秒でも目を離さないように僧侶に見張らせた。
寺の者によって、ふたりの葬儀は滞りなく済まされた。
その間中、両家は気丈に振舞いながらも現実を受け止められずにいた。
『姉様…いつ起きる?』
美弥の死を受け入れられない麻耶は和尚に何度も聞く。
死んだことを告げても理解しようとはしなかった。
それだけ、ふたりの死は大きかった。
父様は気丈に振舞い、美弥たちが亡くなる前と変わらず仕事をして毎日を送った。
しかし、母様は何をするわけもなくただ一日を過ごす。
麻耶は受け入れられなくとも蘭子という寄り添える子に救われ、毎日を懸命に生きていた。
美弥と葉月が逝ってしまって数か月たったある日。
母様は寺に足を向けた。
ふたりが住んでいた部屋を覗き和尚の元に顔を出した。
『和尚様。美弥は元気でやっていますか?葉月ちゃんと喧嘩せずに』
娘を心配する母親の顔で美弥の事を心配する。
『結婚してから一度もこちらに顔を出さないから心配して来ちゃいました。美弥はきちんとやっていますか?』
笑顔で聞いてくる母様に和尚は一瞬ためらう。
事実を告げるべきか、それとも母様に話を合わせるべきか。
理由は分からないが南和が関わっていることは確かだと分かっていたため、1秒でも目を離さないように僧侶に見張らせた。
寺の者によって、ふたりの葬儀は滞りなく済まされた。
その間中、両家は気丈に振舞いながらも現実を受け止められずにいた。
『姉様…いつ起きる?』
美弥の死を受け入れられない麻耶は和尚に何度も聞く。
死んだことを告げても理解しようとはしなかった。
それだけ、ふたりの死は大きかった。
父様は気丈に振舞い、美弥たちが亡くなる前と変わらず仕事をして毎日を送った。
しかし、母様は何をするわけもなくただ一日を過ごす。
麻耶は受け入れられなくとも蘭子という寄り添える子に救われ、毎日を懸命に生きていた。
美弥と葉月が逝ってしまって数か月たったある日。
母様は寺に足を向けた。
ふたりが住んでいた部屋を覗き和尚の元に顔を出した。
『和尚様。美弥は元気でやっていますか?葉月ちゃんと喧嘩せずに』
娘を心配する母親の顔で美弥の事を心配する。
『結婚してから一度もこちらに顔を出さないから心配して来ちゃいました。美弥はきちんとやっていますか?』
笑顔で聞いてくる母様に和尚は一瞬ためらう。
事実を告げるべきか、それとも母様に話を合わせるべきか。