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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
『美弥は……葉月と死んだではないか…きちんと葬儀もしただろう?』

和尚は真実を告げることにした。
話を合わせていても、どこかで綻びが生じてしまことを恐れての事だった。
母様の表情は一変して曇り、瞳に涙を浮かべる。

『そう…でした…ね…。美弥は…いない…』

母様は何も言わずに、和尚に頭を下げて家に帰って行った。
その後を妙仁に追わせ、家に帰りつくのを見届けさせた。
母様は何度も何度も寺に足を向けては美弥の心配をする。
そのたびに、和尚は真実を話し、美弥の死を受け入れさせようとした。
しかし、受け入れることはなく、いつしか和尚は何も言わなくなっていた。

『美弥は元気にやっていますか?』

『ああ…葉月と仲良くやっているよ。便りがないのは元気な証拠…。心配だろうがそっと見守っていてやるといい。それより、麻耶と蘭子は元気にしているか?』

『ええ…麻耶は立派に子育てをしていますよ。美弥や葉月ちゃんが安心できるようにするんだって頑張っています。』

『そうか…きちんと見ていてあげなさい。』

和尚の言葉に頷いて帰っていく。
母様の中では美弥は生き続けていた。
葉月と幸せに暮らしているのだと疑うことなく塗りかえられた記憶を信じて…
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