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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
「南和か…そうだな…あいつのその後が幸せだったと思うか?それとも…」
部長が静かに聞いてくる。
「麻耶を独り占め出来て幸せだったでしょうね!」
怒りを抑えることなく言葉は舞う。
思い出しただけでも腹が立ち、今は違うと分かっていても、彼を殴りたい衝動に駆られる。
「お前が怒り狂うのも無理はないが…あれはあれで…心を病んでいた…麻耶と同じ…葉月と美弥に愛されたかった…」
「愛されたい?自分から滅茶苦茶にしたのに…」
部長の言う意味が分からない。
南和さえ酷い事をしなければ、美弥も麻耶も苦しまずに済んだ。
それに南和自身も自分で自分の幸せを奪ったのではないかと腹ただしく思う。
「美弥と葉月を見つけたのが南和だと話したな。無理やり寺に連れて帰り、僧侶たちに見張らせたとも…」