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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
『…ま…や…』
やっとのことで絞り出した言葉は弱々しく、今にも消えてしまいそうなほど小さかった。
そして、南和の瞳から涙がこぼれ落ちた。
この部屋に連れてこられて、初めて流した涙だった。
『…っ…いなく…なっ…なっちゃった…』
辛うじて聞き取れた言葉に驚き、南和もまた苦しんでいるのだと麻耶には思えた。
そして、これが本来の南和ではないかと思うと自分が犯した罪の重さがのしかかる。
自分さえもしっかりしていれば、南和をここまで豹変させなかったのではないか。
自分がもっと大人で、美弥から葉月を奪わなければこんな悲劇が起こることはなかったのではないか。
美弥が自我を取り戻して自分の罪の深さを自覚し償ってきたが、それよりもっと重いのではないかと、今の南和を見て思う。
全ては私が悪いと、麻耶は改めて自分の罪の重さを知った。
『南和…ごめんね…。ごめん…』
今は謝るだけしかできなかった。
南和を抱きしめ、謝罪の言葉を伝える事しかできないでいた。
抱きしめられた南和は、麻耶の胸の中で声を殺して泣き続けた。
その背中を撫でながら、麻耶もまた涙を流す。
『麻耶…入っていいか?』
どのくらいそうしていたのか、障子の向こうから和尚が声をかけてきた。
その声に南和は怯えたように震えだした。
『大丈夫だから…ねっ?』
宥めるように抱きしめる腕に力を入れて、南和に告げた。
そして和尚に声をかける。
『…どうぞ』
やっとのことで絞り出した言葉は弱々しく、今にも消えてしまいそうなほど小さかった。
そして、南和の瞳から涙がこぼれ落ちた。
この部屋に連れてこられて、初めて流した涙だった。
『…っ…いなく…なっ…なっちゃった…』
辛うじて聞き取れた言葉に驚き、南和もまた苦しんでいるのだと麻耶には思えた。
そして、これが本来の南和ではないかと思うと自分が犯した罪の重さがのしかかる。
自分さえもしっかりしていれば、南和をここまで豹変させなかったのではないか。
自分がもっと大人で、美弥から葉月を奪わなければこんな悲劇が起こることはなかったのではないか。
美弥が自我を取り戻して自分の罪の深さを自覚し償ってきたが、それよりもっと重いのではないかと、今の南和を見て思う。
全ては私が悪いと、麻耶は改めて自分の罪の重さを知った。
『南和…ごめんね…。ごめん…』
今は謝るだけしかできなかった。
南和を抱きしめ、謝罪の言葉を伝える事しかできないでいた。
抱きしめられた南和は、麻耶の胸の中で声を殺して泣き続けた。
その背中を撫でながら、麻耶もまた涙を流す。
『麻耶…入っていいか?』
どのくらいそうしていたのか、障子の向こうから和尚が声をかけてきた。
その声に南和は怯えたように震えだした。
『大丈夫だから…ねっ?』
宥めるように抱きしめる腕に力を入れて、南和に告げた。
そして和尚に声をかける。
『…どうぞ』