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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
『和尚様…南和は何も悪くないの…南和が怒るのも無理はないの…』

締められた首を抑えながら必死に誤解を解こうとする。
これ以上、南和を悪者にではできなかった。

『分かっている…悪いとは思ったが全て聞かせてもらった…むずかしいな…。南和の気持ちも分からなくもない…だけどそれを許すことも出来ない…どうしたら一番いいのか…』

和尚は難しい顔をして悩みだした。
そんな和尚様を見て麻耶はクスリと笑った。

『なんだ?』

『あっ…いえ…和尚様でも悩むことあるんだと思って』

『悩むことだらけだ…』

そう言って、ふたりは笑った。
少しでも笑えればそれでいいと和尚は麻耶の笑顔を見てどこかホッとしていた。

『和尚様…お呼びでしょうか』

鉄斎がやってきた。

『しばらく…南和から目を離さないようにせねばならんようだ…南和に害のない相手を…麻耶は今日は帰りなさい』

外の夕やみを見て和尚は告げた。
帰りたがらない麻耶を説得して蓬黎に送って行かせた。
それから南和を布団に運び、南和が目を覚ましたのは明け方近くだった。
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