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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ

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『和尚様、おはようございます。南和は起きてますか?』

朝一番で麻耶は南和の様子を見に寺に足を向けた。
しかし、和尚の表情は硬かった。
南和の身に何か起こったのではないかと心配になり、和尚の言葉も聞かずに走り出していた。
昨日、南和のいた部屋に行くと、廊下に南和が立っていた。
元気な姿を見てホッとしていると、南和の視線が麻耶に向いた。

『あ~麻耶だぁ』

元気いっぱいに麻耶の名前を呼ぶと、何も履かずに麻耶の元に駆け寄り抱きついた。

『麻耶ぁ~~』

昨日とは違って明るい声に戸惑いながらも、昔の南和みたいでうれしかった。

『南和おはよう…ごはんは食べた?』

結局、昨日は何も食べなかったことを思い出して聞いた。

『うん。食べたよ。でもね。重湯なの…ごはんつぶ食べたかったなぁ』

『仕方がないよ。全然食べてなかったんだから。』

『それより、今日はひとりなの?美弥と一緒じゃないの?』

何の疑いもなく美弥の名前を口にする。
その意味を麻耶は理解できなかった。

『あとで葉月とふたりで来るの?』

何も喋らない麻耶に南和はニコニコしながら聞く。
だけど何も答えられなかった。
南和の変化が理解できず困惑する。

『南和。鉄斎が呼んでいたぞ。』

『あっ…忘れてた。麻耶またね』

和尚の言葉で鉄斎と約束をしていたことを思い出して走っていってしまった。
残された麻耶は戸惑っていた。
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