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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
『今朝がた起きたらああなっていた…話をしてみるとな…7歳かそこらの記憶しかない…きっと一番幸せだった時の記憶だろうな…』

無邪気な笑顔を思い出せば、和尚が言う通り幼かった頃に似ていた。

『美弥と同じだ…イヤな記憶を消し去った。美弥は全てを拒絶したが、南和は幸せな時に逃げ込んだ…』

7歳の頃…
いつも4人で遊んでいたことを思い出す。
まだ何も知らず、恋愛感情もなく楽しかった日々。
戻れるなら戻りたいと麻耶も思う。
だけど麻耶には全てを忘れて戻ることなどできなかった。
なぜなら、麻耶には守りたいもの、守らなければならないものができてしまったから。

『和尚様…南和はこれでいいと思います…幸せな時の中で過ごせるのなら…今よりはきっと…』

『全て…ひとりで耐えていくというのか?』

和尚は麻耶の一言に顔を歪める。

『…そんなんじゃ…ないです…。南和は私の為に姉様と葉月に酷いことした。それは私が望んだから…私は葉月を愛して姉様を憎んでいると信じていたから…だけど、本当は姉様の心が欲しかった。欲しかったのは葉月ではなく姉様…それを伝えたら…僕のしたことは無意味だったの?って泣きながら言ってました。それを聞いて…。南和の心を壊したの私だった…南和ひとりが悪くないって思ってたけど…南和は私の犠牲になっただけ…。南和は優しい子…私を大事に思っていたのと同じぐらいに姉様も葉月も大切だったはずなの…その姉様に酷い事させて、それが間違っていたって分かった時…南和の心は完全に壊れて…だったらこのまま幸せな時の中にいたほうが南和は幸せ…私も…どこかホッとしてるんです』
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