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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
麻耶は思っていた。
自分のせいで南和を不幸にしてしまった事への後悔。
それによって苦しむ南和を見るよりは、幸せだった時に逃げ込んで幸せに日々を送る南和を見ている方がずっと楽だと、思えてならなかった。

それから南和は7歳のあどけない仕草で寺内を走りまわり楽しそうに過ごしていた。
その姿を許せない人もいれば、麻耶の想いをくみ取り見守る人もいた。

『和尚様…美弥は今日もでかけてますか?』

それからしばらくして、母様が美弥を訪ねてやってきた。
美弥と葉月の死を受け入れられず、まだ生きていると疑わなかった。

『…何度も言ってるが美弥は…もうこの世にいないだろう?』

『えっ…?』

和尚の一言に母様の瞳が揺れた。
そして…

『あっ…そう…でしたね…美弥はもう…』

そう一言だけ口にして何も言わずに帰っていく。

『蓬黎!!蓬黎はいるか!』

和尚が声を荒げて呼べば、蓬黎は和尚の元にやってきた。
トボトボと帰る母様の後ろ姿を見て呼ばれた理由を理解する。

『家に帰るのを見届けて参ります』

和尚の言葉を聞かず、それだけ告げると母様の後を追った。
それと入れ違いに麻耶が和尚の元に現れた。

『一緒にきていたか』

『一人で外に出かけるのは危ないから…蘭子は父様に預けてきました…』

『そうか…』
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