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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
『僕…南和…』

『南和ね…。ここ、僕たちの秘密基地なんだ。南和も仲間にいれてあげる。いいよね?』

葉月がふたりに声をかけると、にっこりと笑って仲間に入れた。
南和はそれが嬉しくて、泣いていたのも忘れてみんなと遊んだ。
良く笑って良く喋る子だった。
その帰り、南和と別れた三人は南和の事を話す。

『南和…怪我してたね…どうしたんだろう…大丈夫かな?』

『あれね…きっと両親に折檻受けてる…。』

『えっ?折檻?両親に?』

美弥が驚いて声をあげ、麻耶は意味が分からなかった。

『うん…友達やよその人だったら言うと思うんだ…。だけど絶対に言わなかった…。言えないのかな…どんなに折檻されても親は親だし…』

2歳も上だと、こんなにも大人びた考えをするんだと美弥は感心していた。

『でも…ぶっちゃダメだよ…』

『そうだけど…南和に言わないでおこう?聞いてほしくなったら自分から言うと思うし…僕たちは南和が泣いている時、一緒にいてあげよう?本当は良く笑う子のはず…』

美弥は葉月の言葉に納得はできていなかったが、葉月がいうのならとそのことに触れることはなかった。
そして南和もそのことを話すことは一度もなく大人になった。
それでもその日から四人は楽しく毎日を過ごす。
身体に傷をつくり、泣きはらしてくることも良くあった。
けれど、南和が笑ってくれるようにと何も聞かずに遊んだ。
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