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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
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毎日が楽しくて、いつの間にかそんなことがあった事を忘れていた。
両親に愛されて育つ時に南和は愛されずに育った。
その与えられなかった愛情を葉月や姉様、麻耶に求めていたのではないかと麻耶は思い出して感じた。
『大丈夫…私が傍にいる…ずっと南和の傍にいて愛してあげるから…怖がらないで?』
その言葉に、南和は頷いた
震えながらも麻耶に抱き付きギュッと抱きしめた。
『麻耶…どういうことだ?』
南和の異変に臆することもなく自然と接する麻耶を見て和尚は首をひねり聞いた。
『私たちが…南和と知り合った時と同じなんです…』
それだけ告げて麻耶は南和に聞いた。
『南和…その傷は…父様と母様に付けられたの?』
今はもうない傷を触りながら聞いた。
その言葉に、ビクッと身体を震わせ、握る手に力が籠る。
『大丈夫…誰にも言わない…私と南和だけの秘密』
優しく優しく問いかけると、南和は誰にも言えずにいた思いを口にした。
『僕が悪い子だから…父さんや母さんの思うような子じゃないから…僕…いらない子…兄ちゃんさえいれば父さんも母さんも幸せなの…』
『だからって、叩いていいってことじゃないよ?』
南和は麻耶の腕の中で首を振る。
『僕が…言うことを聞かないから…言われたことが出来ないから…ぶたれてもしょうがないの…でも…痛いのは嫌い…痛いのは…』