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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
『でも…おじ様とおば様は南和のことで首を吊ったって』

そう。
南和が釈放された日に首を吊って死んでしまったと聞いた。
それを見つけたのは南和自身だったとも。

『それか…父親は首を吊っておったが…母親は…包丁で刺されていたそうだ…父親が母親を刺して首を吊った…』

知らされていなかった真実は重みを増して麻耶の心に沈んでいく。
自分の些細な嫉妬心から色々な人を傷つけ壊していったのだと思うと涙さえ流れなかった。

『自分を責めるなよ…南和の生い立ちの事までお前が背負わなくていい…あの時、傍にいながら気がつかなかった大人の責任だ…過去を嘆くより、生きている今に重点を置く事だ。』

そう言って、和尚は麻耶の頭を優しく撫でて優しく微笑んだ。
それからしばらくは何も起こらず平凡な日常が過ぎていった。
母様は相変わらず姉様の死を受け入れず葉月と幸せに暮らしていると思い込んでいた。
だから、和尚は死を受け止めさせようとはせず幸せに暮らしていると告げる。
父様は仕事に追われ、それでも時間が許す限り家に帰り母さに寄り添っていた。
南和は変わることなく7歳の頃の幸せだった時間の中で生きていた。
あれから4年。
幸せな時の中で生きていくのには無理があった。
一度も姿を現さない姉様と葉月。
いつになっても消えない心無い言葉。
そして成長する蘭子を見て違和感を覚え始めていた。
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