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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
『ねぇ…どうして美弥も葉月も会いにきてくれないの?』
本堂の掃除を手伝いながら南和は妙仁に声をかけるが、妙仁は険しい顔をして南和を睨みつけていた。
この寺の中で、唯一南和の事を許すことができなかったのが妙仁である。
どんなに和尚に諫められようとその思いが消えることはなかった。
そして、人を傷つけておいて何もかも忘れて過ごす南和の姿に憎しみさえ感じていた。
『ねぇ。妙仁…僕…何か悪い事したかなぁ…』
悪びれもせずに話す言葉に妙仁はゆるせなかった。
『殺しておいて良く言えますね…誰も何も言わないからといって罪は消えない…』
その言葉にキョトンとして首を傾げた。
そのあどけない顔が妙仁の神経を逆なでする。
『美弥さんも葉月さんも死んだんですよ。南和…あなたが追い詰めて殺した…覚えてませんか?人を使って犯させ傷つけたことを』
『…死んだ…の?』
南和の瞳が揺らぐ。
『そうですよ。南和が殺した…全てを忘れて生きるなど…許されない。御仏が許さない』
『僕が…殺した…?』
妙仁の言葉を繰り返し言葉にすれば忘れていた何かが押し寄せて来そうだった。
『そうです…あなたが死においやった…酷い言葉で傷つけた…』
『僕じゃない!!』
南和は意味も分からず叫んでいた。
そんなはずはないと思いながらも、心のどこかで完全に否定はできないでいた。
本堂の掃除を手伝いながら南和は妙仁に声をかけるが、妙仁は険しい顔をして南和を睨みつけていた。
この寺の中で、唯一南和の事を許すことができなかったのが妙仁である。
どんなに和尚に諫められようとその思いが消えることはなかった。
そして、人を傷つけておいて何もかも忘れて過ごす南和の姿に憎しみさえ感じていた。
『ねぇ。妙仁…僕…何か悪い事したかなぁ…』
悪びれもせずに話す言葉に妙仁はゆるせなかった。
『殺しておいて良く言えますね…誰も何も言わないからといって罪は消えない…』
その言葉にキョトンとして首を傾げた。
そのあどけない顔が妙仁の神経を逆なでする。
『美弥さんも葉月さんも死んだんですよ。南和…あなたが追い詰めて殺した…覚えてませんか?人を使って犯させ傷つけたことを』
『…死んだ…の?』
南和の瞳が揺らぐ。
『そうですよ。南和が殺した…全てを忘れて生きるなど…許されない。御仏が許さない』
『僕が…殺した…?』
妙仁の言葉を繰り返し言葉にすれば忘れていた何かが押し寄せて来そうだった。
『そうです…あなたが死においやった…酷い言葉で傷つけた…』
『僕じゃない!!』
南和は意味も分からず叫んでいた。
そんなはずはないと思いながらも、心のどこかで完全に否定はできないでいた。