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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
静かに告げると振り返りもせずに自分の部屋に戻って行った。
その後を妙仁は気丈にも胸を張ってついていった。
僧侶の身で人を殴るなどあってはならない事だと分かっていても、許せることではなかった。
それによって、破門されても仕方がないと妙仁は心を決めていた。
和尚の部屋に入ると、妙仁は頭を下げた。
『破門にしてください』
その一言に和尚は触れなかった。
『何があった…南和と何を話した』
和尚も妙仁が南和を許せないでいる事を分かっていた。
それでも敢えて傍にいさせたのは真実をしりたいと思ったからだった。
ただ優しく見守るだけでは知ることはできない。
違う何かがなければ真実は見えなのだと妙仁を傍におかせていたのだった。
そして、その奥に潜む思いまで和尚は気がついていた。
『聞いたのだろう?南和の口から…美弥を追い込んだ何かを…』
『…本当の事を…言ったと言ってました…葉月さんが美弥さんを抱かないのは…美弥さんが穢れているから…子供も産めない美弥さんを…葉月さんは選ばない…』
妙仁は涙を流しながら、今しがた南和から聞いた言葉を告げた。
さすがに、和尚も口を閉ざし何も言えなかった。
女性にとって、その言葉の意味を考えれば答えられなかった。
『人を殴ることは御仏に反する行い。長年…修行してきた身にありながら…自分を制御することが出来ませんでした…このまま…私を破門にしてください』
そういう妙仁を複雑な瞳で和尚は見ていた。
その後を妙仁は気丈にも胸を張ってついていった。
僧侶の身で人を殴るなどあってはならない事だと分かっていても、許せることではなかった。
それによって、破門されても仕方がないと妙仁は心を決めていた。
和尚の部屋に入ると、妙仁は頭を下げた。
『破門にしてください』
その一言に和尚は触れなかった。
『何があった…南和と何を話した』
和尚も妙仁が南和を許せないでいる事を分かっていた。
それでも敢えて傍にいさせたのは真実をしりたいと思ったからだった。
ただ優しく見守るだけでは知ることはできない。
違う何かがなければ真実は見えなのだと妙仁を傍におかせていたのだった。
そして、その奥に潜む思いまで和尚は気がついていた。
『聞いたのだろう?南和の口から…美弥を追い込んだ何かを…』
『…本当の事を…言ったと言ってました…葉月さんが美弥さんを抱かないのは…美弥さんが穢れているから…子供も産めない美弥さんを…葉月さんは選ばない…』
妙仁は涙を流しながら、今しがた南和から聞いた言葉を告げた。
さすがに、和尚も口を閉ざし何も言えなかった。
女性にとって、その言葉の意味を考えれば答えられなかった。
『人を殴ることは御仏に反する行い。長年…修行してきた身にありながら…自分を制御することが出来ませんでした…このまま…私を破門にしてください』
そういう妙仁を複雑な瞳で和尚は見ていた。