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遠い日の約束。
第22章 自責の念
―――――…
「和尚様…」
部屋からでると、苦悶に顔を歪めた鉄斎が立っていた。
全てを聞いていたのだと察した和尚は鉄斎の肩に手を置いて、自分の部屋に来るように促した。
鉄斎は静かに…だか心内は燃えるように熱く蠢いていた。
「何か…あるとは思っていましたが…心を閉ざし…葉月さんに愛されながら死を選んだ美弥さんの心が…やっと分かりました…妙仁ではないですが…私も怒りに打ち震えています」
いつも冷静の鉄斎でさえ、怒りの炎を消すことは出来ずにいた。
「南和も若き当主も…考え方によっては哀れな身の上…元を正せば歪んだ愛情しか受けられなかった…南和の場合はその愛情さえもなかった…」
「だからと言って…許されることではありません!!…罰を受けるべきです!!」
声を荒げる鉄斎に和尚は優しく微笑み頭を撫で、その撫でる手に懐かしさを覚えて鉄斎は顔を上げた。
「鉄斎…人は罪を犯す。罪を犯した人間は鬼か?憎むべき相手か?そうじゃないだろう…罪を犯す人間には罪を犯すだけの理由がある。それを踏まえて話を聞かなければ、その相手は何も変わらない…若き当主は変わりたいと思ってここに来た。新しく生まれた子供の為にな…」