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第3章 言い伝え

話は終わったのだと立花さんがソファーを立ってキッチンに向かって歩き出す。
その背中に向かって、初めて声を荒げた。

「どうして分かってくれないんですか！」

振り替えった顔が驚きに満ちていた。
でも言わずにはいられなかった。
私の想いを、心を。

「無理してでも、美味しいって笑ってくれる笑顔を見たいって思っちゃダメですか？ここにいる意味を見出しちゃダメですか？」

言いながら涙が溢れてくる。
言いながら自分の想いに気がつく。
私は立花さんが好き。
いつの間にか心惹かれ、いつの間にか好意を寄せている。
だから契約ではなく、この家にいる意味を見出したかった。
たった数か月の間に私は立花さんに恋心を抱いていた。
フワリと暖かい腕が私を包む。
いい子いい子するかのように私の頭を撫でる。

「ただ私は…華が無理して倒れないか心配だったんだよ…それに、お金を貰ってしまったら家政婦として一緒にいるような気がして嫌なんだよ…ごめん」

ポツリポツリと立花さんも本音を話す。
優しさからの言動だったことも理解していた。
立花さんは無条件に私に優しい。
だから、何も返せない私は苦しかった。