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遠い日の約束。
第3章 言い伝え
星が瞬く頃、ワインを持って湖に近づいていく。
握られている手から伝わる暖かさと俊樹さんの存在のおかげか怖いと思わない。
逆にとても懐かしい気がしていた。
テントから少し離れた場所には、あらかじめ用意がされていたチェアーとテーブルと防寒グッズが置かれていた。
少し厚手のストールを身体に巻き付け、後ろから抱きしめられる格好で座ると、ワインを片手に空を見上げた。
「わぁ…」
言葉が出ないとはこおいうことを言うのだろうと初めて思った。
それぐらいの満点の星。
写真集のような神秘的な星空が広がっていた。
ただ言葉もなくワインを飲むことも忘れ見入っていた。
星空に見入っていると俊樹さんが口を開く。
『満月の晩
湖が凪ぎ、丸い丸い月が映し出された時
湖に一筋の風が吹き去り、水面を揺らし
悲しみを蹴散らし、想いだけが風に乗り、伝えたい人の元に届く
残された者の安寧を願う言葉を…
遠い昔
とある男女は恋に落ちた。
幾度の困難を乗り越え、ふたりは結ばれた。
けれど、幸せの中で生きていく辛さから、この世から去ることを決めた。
最後まで共にいようと決めた男性は最後の瞬間まで彼女の傍から離れなかった。
そして、ふたりは寄り添いながら永遠の愛を手に入れた。
それは、とてもとても悲しい物語
されどふたりにとっては未来永劫離れることのない、永遠の愛を確かめ合えた幸せな物語…
今でも満月の晩
湖が凪、丸い丸い月が映し出された時
ふたりの想いの声が聞こえる。
幸せにおなり…
幸せになって…私のかわいい妹…麻耶…』
「なんですか?」
「この湖の言い伝え…くしくも今日は満月。彼女の声が聞こえるかもしれないね」
握られている手から伝わる暖かさと俊樹さんの存在のおかげか怖いと思わない。
逆にとても懐かしい気がしていた。
テントから少し離れた場所には、あらかじめ用意がされていたチェアーとテーブルと防寒グッズが置かれていた。
少し厚手のストールを身体に巻き付け、後ろから抱きしめられる格好で座ると、ワインを片手に空を見上げた。
「わぁ…」
言葉が出ないとはこおいうことを言うのだろうと初めて思った。
それぐらいの満点の星。
写真集のような神秘的な星空が広がっていた。
ただ言葉もなくワインを飲むことも忘れ見入っていた。
星空に見入っていると俊樹さんが口を開く。
『満月の晩
湖が凪ぎ、丸い丸い月が映し出された時
湖に一筋の風が吹き去り、水面を揺らし
悲しみを蹴散らし、想いだけが風に乗り、伝えたい人の元に届く
残された者の安寧を願う言葉を…
遠い昔
とある男女は恋に落ちた。
幾度の困難を乗り越え、ふたりは結ばれた。
けれど、幸せの中で生きていく辛さから、この世から去ることを決めた。
最後まで共にいようと決めた男性は最後の瞬間まで彼女の傍から離れなかった。
そして、ふたりは寄り添いながら永遠の愛を手に入れた。
それは、とてもとても悲しい物語
されどふたりにとっては未来永劫離れることのない、永遠の愛を確かめ合えた幸せな物語…
今でも満月の晩
湖が凪、丸い丸い月が映し出された時
ふたりの想いの声が聞こえる。
幸せにおなり…
幸せになって…私のかわいい妹…麻耶…』
「なんですか?」
「この湖の言い伝え…くしくも今日は満月。彼女の声が聞こえるかもしれないね」