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SEASON
第2章 春は出会いの季節

教室が声にあふれる
そんなこんなで体育を乗り越えて
今はもう放課後である。

今日の部活は何をするか
これからどこか遊びに行こうか
そんな会話が聞こえてくるが
俺に向けられたものは一つもない

(もう帰ろう…)
荷物をまとめて逃げるように教室から出る。
どうせ一緒に帰る友達なんていないし。
とにかく廊下を突き進む

何気なく窓の外に目をやると
桜が風に煽られて舞い散っていた。
あぁ、もうそんな時期か。

“春は出会いの季節”
とかよく言われるけど、
俺には出会いなんてものはない

地味で引っ込み思案
人とコミュニケーションをとるのがどうも苦手で
話しかけてくる人は少ない
友達がいない環境にも慣れてしまった

出会いなんてこれっぽっちも期待してないが
やっぱり考えると憂鬱になる。
早く帰って、小説のことで頭をいっぱいにしてしまおう。

……?
小説のことになると
なぜか胸がモヤモヤする
何かを見落としているのか…?

「あっ、いたいた!矢塚~、ちょっといい?」

階段の上から微笑むその顔に
俺の脳は大音量の警報を鳴らした。
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