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SEASON
第2章 春は出会いの季節

「大事な話があるんだけど…時間ある?」

この時、嘘でも吐いて逃げればよかった。
耳障りな警報を異常なほど冷静に聞いてたはずなのに
なぜか、俺は頷いてしまっていた

「よかったぁ。じゃあ」

夏目はニコッと手招きをして階段を昇っていく。
その足音が嫌というほどに響いて聞こえた。

「ほら、早く?」

その声で我に返り、離れた足音の後を追う。
一歩進むごとに不安が膨らんでいく。
それでも足が動くのは、先に待つのは何なのかという
ほんの少しの好奇心のせい。
きっといいことなんてないのに…

夏目が教室の鍵を開ける。
ここは…自習室?
普段なら生徒がいてもおかしくないのに
わざわざ貸しきりにしたのか?

「で、話なんだけど」

いつの間にか、持っていた教科書やファイルをおいて席に座っている。
俺も向かい合うようにして座った。

「いやぁ、今日の授業でレポート書いてもらったじゃん?さっき読んだんだけどね、矢塚のレポートがとても良く書けてたんだ。」

ニコニコと楽しそうに話す。
それに、俺ははぁ…と曖昧に相づちを打つ。
これはきっと本題ではない。

「でも、少し気になることがあってね…コレなんだけど」

そう言うと、夏目はファイルの中から何かを取り出した。

それは…

俺の小説用ノート だった
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