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第2章 春は出会いの季節

「あっ、次体育じゃん」

アイツについて考えている間に
周りの奴らは着替えて移動し始めていた
授業まであと５分と少し
俺は急いで着替えてグラウンドへと走った

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そして、やっぱり退屈だ
さほど運動が得意じゃない俺には
体育を楽しいと感じるのは不可能に近かった。

クラスメイトが本気でソフトボールを楽しんでいるのを
外野を守るフリをして眺める。
脳内は再び自分の世界を繰り広げようとしている

……しかし上手くいかない

一体、何が引っかかっているのか
夏目のあの笑顔が頭から離れない

アイツに注意されたから？
いや、普通だったらこんなに引きずったりしない。
あの笑顔に惚れてしまったから？
いやいや、それだけは絶対にありえない。
じゃあどうして？

ナニカヨクナイコトガオコル

そんな言葉が浮かんで消えた
モヤモヤと嫌な予感が
身体の中でうずまいている

「矢塚ー！そっち行ったぞー！」

その声に驚いて上を見ると
ボールが俺めがけて落ちてくる真っ最中。
慌てて手を頭の上へ持っていく

パシッ

ボールは俺のグローブの中に収まった
…この日の運を、使いきった気がした