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SEASON
第2章 春は出会いの季節
「矢塚~起きろ~」
名前を呼ばれて意識が戻る
ぼんやりとして現状が掴めない
「おはよう。いい夢は見れた?」
教壇の上で先生がニコニコとこっちを見て笑っている。
すーっと頭の中がクリアになっていく
そういえば授業中だったっけ
「ノート、提出してないの矢塚だけだよ?」
「えっ…あ、すいません」
慌てて机の上にあるノートを手に取る。
レポートだけは完璧に書いた
何も問題はないだろう
俺は手にしたノートを手渡した。
「ん。いくら眠くても、寝ちゃうと着いてこれなくなるよ?次から気をつけるよーに」
ニコッと微笑む先生に
はぁ…と会釈をして背を向ける
席に戻るとチャイムが鳴った
「はい、じゃあ終わりにします」
号令も完璧に無視して
なんとなくヤツを見つめる
あの先生…
夏目奏汰(なつめかなた)とか言ったっけ
転任してきたばかりながら
親しみやすいキャラ、わかりやすい授業
そして甘いルックスで評判である
しかし、はっきり言って
俺はあまり好きではない
いつもニコニコしていて
心の中で何を考えているのか全くわからない
優しいイイ人なのは表面だけだと
直感的に俺は感じた