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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
光を舞踏室まで見送り、深々と頭を下げる。
少し興奮した頭を冷ましたくて回廊を抜け、中庭に出ようとした。
…密やかに話し合う声が聞こえ、脚を止める。

中庭の楡の木の陰に、少し切羽詰まるような様子で話し合う人影が見えた。
…あれは…

「暁…、聞いてくれ…」
「…手を離して下さい。春馬さん。…奥様が…直ぐ近くにいらっしゃるのですよ…」
大紋が暁を熱い眼差しで見つめ、暁がそれに対して苦しげに抗っていた。

…大紋様と暁様…?
なぜこのお二人が…?
泉はそっと柱の影に隠れ、様子を伺った。
「…君を傷つけるつもりはなかったんだ。…今夜は本当は僕一人で来るつもりだった。…だが、絢子が…妻がどうしても薫くんの顔を見たいと言いだして…」
暁は、ふっと寂しげな微笑みを浮かべる。
「…奥様のお気持ちは当然です。…春馬さんの親友の赤ちゃんのお披露目会ですよ。…いらしていただけて兄夫婦は喜んでいます」
「…暁…」
暁は抗うのを止めて大紋を正面からじっと見上げた。
「…一度、きちんとお話しておかなくては…と思っておりました。…春馬さん、貴方は僕のことで絢子さんに色々と我慢させてしまっているのではないですか?」
「…暁…?」
「…僕のことを気にされて、我が家に来られる時に絢子さんをお連れになりませんね。…絢子さんはきっと、心の中でそれをお寂しく思っておられる筈です」

暁は、諭すように穏やかな微笑みを浮かべる。
「…春馬さん、もう僕のことを気遣われる必要はありません。…絢子さんをお連れになって下さい。貴方は兄さんの親友なのですから、奥様も同じように交流されて然るべきだ」
大紋は、強い眼差しで暁を見据える。
「君はそれでいいのか…?…君にはもう、月城という愛する人が出来たから…だから僕が妻を同伴しようと何とも思わないと言うのか⁈」
「…そんな…そんなことは言っていません。…ただ、僕達はもう過去を忘れなくてはならないと申し上げたかったのです。…貴方にはもう素晴らしいご家庭があります。
…だから…!」
暁の言葉を、それ以上は聴きたくないと言うかのように、大紋は荒々しく暁を抱きすくめた。

…泉は思わず息を呑んだ。
「嫌だ!嫌だ!…君を忘れるなんて出来ない!…僕達のあの愛の日々を忘れ去ることなんて、出来る訳がない!」
大紋の押し殺した苦しげな熱い声が響く。
「…愛しているんだ…今も…君を…!」

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